電気自動車を検討するとき、気になるのが「補助金を使うと、いくらで買えるのか」という点です。

国の補助金に加えて、住んでいる自治体の制度を利用できる場合もあります。ただし、対象車種や申請期限、購入後に保有しなければならない期間など、確認すべき条件があります。

特に気をつけたいのは、車を購入すれば自動的に補助金がもらえるわけではないことです。この記事では、電気自動車の補助金の基本と、購入前に確認したいポイントを紹介します。

情報確認日:2026年11月1日。金額や受付状況は変更される場合があります。購入・申請前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

電気自動車の補助金は「国」と「自治体」を確認しよう

国の代表的な購入支援制度が「CEV補助金」です。電気自動車などの導入費用を支援するもので、現在は令和7年度補正予算による制度が実施されています。

対象は、制度の条件を満たす新車の自家用車です。中古車や事業用車両は対象外となります。会社が使う車でも、車検証上の「自家用・事業用」の区分などで判断されるため、法人所有だから一律に対象外という意味ではありません。

また、CEV補助金では地方公共団体の補助金との重複申請が認められています。ただし、自治体側にも独自の条件があるため、両方の制度を確認してください。

出典:CEV補助金・応募要領(PDF)

電気自動車の補助金はいくらもらえる?

普通・小型EVは最大130万円、軽EVは最大58万円

2026年の制度で示されている補助上限額は、次のとおりです。

車両の種類補助上限額
電気自動車〈普通・小型EV〉130万円
軽電気自動車〈軽EV〉58万円
プラグインハイブリッド自動車〈PHEV〉85万円
燃料電池自動車〈FCV〉150万円

これらは加算措置を含む上限です。すべてのEVで130万円、すべての軽EVで58万円が交付されるわけではありません。

出典:経済産業省・CEV補助金の支援概要(PDF)

実際の補助額は、公式の「補助対象車両一覧」で確認します。同じ車名でも型式やグレードなどを照合し、購入する仕様に対応する金額を調べましょう。

出典:補助対象車両・補助額一覧(PDF)

2027年1月以降の登録分は補助額の変更に注意

2026年10月21日、2027年1月1日以降に新規登録・届出される車両の補助額見直しが発表されました。公式一覧には、2026年末までと2027年1月以降の金額が掲載されています。

年末から年明けにかけて納車を予定している方は、販売店と登録予定日を確認してください。契約時に見た金額が、そのまま適用されるとは限りません。

出典:2027年1月以降の補助額に関する公式発表

申請はいつまで?「受付終了」と「自分の提出期限」は別

受付終了の見込みは2026年12月上旬〜下旬

2026年10月9日の公式発表では、申請受付の終了見込みは2026年12月上旬〜12月下旬とされています。

これは確定した終了日ではありません。申請状況によって前後し、予算に達した場合は、その前の営業日をもって受付終了となります。申請書は事務局への到着日による先着順です。

出典:申請受付終了見込みのお知らせ(PDF)

制度上の最終期限としては、対象となる初度登録・届出が2027年2月1日まで、申請受付が2027年2月12日必着と発表されています。ただし、予算による早期終了があります。

「最終期限が2月だから、それまで申請できる」とは考えないようにしましょう。

出典:登録期間・受付期間の最終期限(PDF)

登録日から数える提出期限もある

2026年5月1日以降に登録された車両は、支払い手続きの完了時期によって提出期限が異なります。

支払い手続きの状況申請書の提出期限
登録日までに完了原則、登録日から1か月
登録日より後に完了登録日の翌々月末

例えば、5月8日の登録で登録日までに支払い手続きが完了している場合は、6月7日が期限です。リースは契約日で判断します。

個別の期限が残っていても、制度全体の受付が終了すれば申請できません。購入時に販売店と、自分の提出期限を確認しておくと安心です。

出典:応募要領・提出期限(PDF)

自治体の補助金は購入前に調べよう

自治体の制度は、国と申請の順番が同じとは限りません。

例えば姫路市の2026年度制度では、EVは登録前に申請し、交付決定後に登録することが条件となっています。購入後に制度を見つけても、申請が間に合わない場合があります。

出典:姫路市・個人向け次世代自動車導入促進補助金

購入前には、都道府県と市区町村の公式サイトで、次の項目を確認しましょう。

  • 個人の自家用EVが対象か
  • 国やほかの自治体の補助金と併用できるか
  • 契約・登録の前に申請が必要か
  • 居住地や車の使用場所などの条件があるか
  • 現在も受付中か

他の地域で受けられる金額が、自分の住んでいる地域でも使えるとは限りません。総額を比較するときは、実際に利用できる制度だけを積み上げることが大切です。

申請書類と購入後の条件も確認しよう

電子車検証だけでは書類が足りない

個人が販売店から購入する場合、主に次のような書類が必要です。

  • 本人確認書類
  • 電子車検証と自動車検査証記録事項
  • 車名・グレード・購入価格が分かる注文書など
  • 領収証や、必要に応じたローン契約書
  • 振込先口座が確認できる書類

電子車検証は、自動車検査証記録事項と併せて提出する必要があります。下取りなどの条件によって追加書類もあるため、公式のチェックリストを使って準備しましょう。

出典:個人購入の申請手続き・必要書類(PDF)

短期間で売却すると返納が必要になる場合がある

補助金を受けた車両には、原則として4年または3年の保有義務期間があります。

期間内に売却・廃車などをする場合は、事前の手続きと補助金の返納が必要です。短い間隔で乗り換える予定がある方は、購入時の補助額と併せて、この条件も確認してください。

出典:CEV補助金の保有義務・処分手続き

車両と充電設備の補助金は分けて確認する

車の購入補助と、自宅の充電設備に対する補助は別の制度です。

2026年11月1日時点で、次世代自動車振興センターでは、令和7年度補正の戸建て住宅充電用コンセントは申請提出期間終了、V2H充放電設備は8月27日受付終了と案内されています。車両の補助金が受付中でも、設備側に申請できるとは限りません。

出典:次世代自動車振興センター・受付状況

V2Hとは?車の電気を家で使う仕組みと導入前の確認点

V2Hは「Vehicle to Home」の略で、対応するEVやPHEVにためた電気を、専用の充放電設備を通して家庭で使う仕組みです。車へ充電するだけでなく、車から家へ電気を取り出せるのが特徴です。

車のバッテリーを家庭用の電源として活用するため、V2H機器そのものに大きな蓄電池が入っているとは限りません。車を外出に使っている間は、その車から家に給電できないことも押さえておきましょう。

出典:EVPOSSA・充放電器の仕組み、ニチコン・V2Hに関するよくある質問

V2Hの仕組み。家の電気からV2H設備を通して車を充電する流れと、車のバッテリーからV2H設備を通して家庭へ給電する流れ
V2Hの電気の流れを示す概念図(AI生成)。青は車への充電、橙は家庭への給電です。施工用の配線図ではありません。

普通充電器・V2H・V2Lは何が違う?

方式主な役割
普通充電器・充電用コンセント家庭などの電気で車を充電する
V2H専用設備を介して、車への充電と家庭への給電を行う
V2L・車載コンセント対応する外部給電器や車のコンセントから、家電へ直接給電する

車にコンセントが付いていても、それだけで住宅の配線へ給電できるわけではありません。V2Hには対応車両と専用設備、住宅側の設置工事が必要です。

出典:次世代自動車振興センター・V2LとV2Hの違い(PDF)

日常は太陽光の活用、停電時は非常用電源として使える

太陽光発電と連携できる構成なら、昼間に使いきれなかった電気を車にため、帰宅後や夜間に家で使う運用ができます。ただし、昼間に車が家にない場合は、その時間の余剰電力を車へ直接ためられません。

電気料金に時間帯の差がある契約では、充放電する時間を工夫する方法もあります。ただし、電気代が必ず安くなるとは限りません。料金プラン、売電単価、電気を変換するときのロス、車を接続できる時間まで含めて比較しましょう。

停電時には、対応する運転に切り替えて家庭へ給電できます。使える部屋・回路、200V家電への対応、自動切り替えの可否は、V2H機器と住宅側の構成によって異なります。「家全体に給電できる」という説明でも、すべての家電を同時に動かせるとは限りません。

出典:住友電工・太陽光連携と停電時の注意点、ニチコン・V2Hシステムの説明(PDF)

停電時は何時間使える?容量と出力を分けて考える

バッテリー容量の「kWh」はためられる電気の量、出力の「kW」は一度に使える電気の大きさです。容量が大きくても、機器の出力を超える家電を同時に使うことはできません。

使用時間の考え方は、家庭に実際に供給できる電力量(kWh)÷平均消費電力(kW)です。例えば、家庭で使える電気を10kWh、平均消費電力を0.5kWと仮定すると、単純計算では20時間になります。これは計算例であり、特定車種の性能や使用時間を保証するものではありません。

実際には停電時の充電残量、走行用に残す電気、変換ロス、家電の使い方で変わります。翌日の移動に必要な残量も確保し、「車の全容量を家で使える」として計算しないことが大切です。

購入前に確認したい5つのポイント

  • 車との適合:V2Hメーカーの対応車種一覧で、車名だけでなく年式・仕様も確認する。
  • 停電時の給電範囲:使いたい照明・冷蔵庫・エアコンなどが対象か、同時使用の上限はどこかを施工店に確認する。
  • 停電時の起動方法:自動か手動か、起動用ケーブルなどが必要かを確認する。
  • 太陽光などとの連携:既設の太陽光発電や蓄電池との適合、停電中にも車へ充電できる構成かを確認する。
  • 設置条件と総費用:本体・付属品・基礎や配線・分電盤などの工事費を含む見積もりで比較する。

停電時に使いたい家電は、名称だけでなく型番を伝えると確認しやすくなります。機器によっては起動時の大きな電流で給電が停止する場合もあるため、設置後は取扱説明書に沿って使い方を確認しておきましょう。

出典:住友電工・対応車両、接続機器と停電時の操作

V2Hの補助金は、車両の補助金と別に確認する

2026年11月1日時点で、令和7年度補正予算のV2H補助金は8月27日に受付を終了しています。車のCEV補助金が受付中でも、このV2H補助金へ新たに申請できるという意味ではありません。

また、このV2H補助制度は、交付決定後に設備を発注して工事を開始する順番です。申請しただけで発注・着工してよいわけではありません。今後の制度や自治体の補助を利用する場合も、募集要領で契約・発注・着工の条件を確認してください。

V2Hの見積もりは、補助金を引く前の総額と、実際に利用可能な制度を分けて確認しましょう。未発表の次回募集や、まだ受給が決まっていない補助金を前提に契約しないことが大切です。

出典:次世代自動車振興センター・受付状況、V2H補助金・申請から交付までの流れ

購入前は「対象車・登録日・申請順序」を確認しよう

電気自動車の補助金を利用するなら、まず購入する車の正確な補助額と登録予定日を確認しましょう。そのうえで、住んでいる自治体に購入前の申請が必要か調べると、手続きの抜けを防ぎやすくなります。

見積もりを比較するときは、補助金を差し引いた車両価格に加えて、充電設備の設置費用や保険、日々の充電費用まで含めて考えるのがおすすめです。

販売店には「この仕様で、登録予定日時点の補助額はいくらか」「申請は誰が、いつまでに行うか」を確認し、無理のない購入計画を立てましょう。

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